VOL.4 髙橋鉸工業株式会社

世界に誇る技術力

東京都江戸川区。ワインカラーの作業服を纏った男たちが力強く作業を行う姿が見えた。戦後復興の昭和24年に創業し、一貫してへら絞り加工に専念する事で世界に誇る技術力を身に付けた「髙橋鉸工業株式会社」である。「へら絞」とは、へらと呼ばれる棒状の道具を回転する金属へ押し当てて変形させながら製品を加工する方法のことである。髙橋鉸工業で作られたものは我々の日常でも見ることができる。学校などにある大きな時計の枠、アルミ製食器、照明器具、ティンパニ、お寺や神社で目にする宝珠などがその一例。創業73年で培った技術で髙橋鉸工業しかできない製品は品質も高くお客様からの信頼も厚い。

二人がかりで行うへら絞りの加工風景
押し当てるへらの選定や力加減は一朝一夕で出来る技ではない

技術を若い世代そして地域に発信

技術を若い人に伝えていくことが一番難しいと髙橋社長は語る。髙橋鉸工業が作る製品は最新の機械を購入してボタンひとつで出来上がるようなものではない。技術を若い人に伝えていく事はもちろんだが、髙橋鉸工業では人材確保の視点から地域を巻き込み取り組んでいる。小学生の社会科見学の受け入れ、5校の工業高校でインターンシップの開催、江戸川区が主催する展示会にも毎年参加している。地域に貢献していく事で知ってもらい、江戸川区産業振興科では髙橋鉸工業を紹介してもらえる機会も増えた。メディアの問い合わせも出来る限り断らず、「髙橋鉸工業の技術」を発信していく事が若い技術者を育てる第一歩だと考えている。

お客様の要望に答えるべく様々な機械を駆使し製品を生産している

髙橋 雅泰社長
若手の教育と新しい事へのチャレンジも積極的に行う

ブランドのファンということもあり快く撮影に協力していただいた
現場のリアルな声を聞ける貴重な時間だった

着る物までこだわりたい

髙橋社長に制服に対するこだわりを伺うと、「制服でも伝えられる事はあるよね」と。「この会社は面白そうだなと思ってもらえるように、作業服もこだわりたい」と語った。最近はインスタグラム等で若いデザイナーや女性の方からの問い合わせもあり、会社を見られる機会が増えた。「人から見られた時にカッコ悪い作業服だと嫌じゃない?」と制服はイメージアップに欠かせないものだと考えている。「ティーエスデザインの作業服はまず単純にカッコよく、今着ている作業服は特に色味が気に入っている」と言っていただけた。落ち着いた色だが、従業員全員が色ものを着ることで工場内が明るくなり、仕事へのモチベーションも上がる。左胸に入れた企業ネームは「黒字を目指す意味で黒にした」と笑いながら話していた。